コロンビアスタイルの豆腐スクランブル

6〜7年前のことです。ニューヨークの帰りにシアトルに滞在し、夫が通っていた大学を訪れたことがあります。「ベリンハム」という、カナダの国境に近い大学の町です。大学時代に夫たちがいつもたむろしていたカフェ「Old Town Cafe」で彼の友人たちと朝、9時の待ち合わせをしました。
待ち合わせの時間になって、彼の友人6〜7人がポツリポツリと集まりだし、全員が揃ったのが10時半頃だったと思います。お腹はペコペコだったのですが、オーダーを取りに来たのが11時頃で、料理が運ばれてきたのはもう12時を回っていました。お店に入ってから食べるまで何と3時間!でも誰も文句を言うわけでもなく、このカフェのごく普通の日常であるかのようでした。うまく言えませんが、どこか次元の違う空間で、時間の流れ方が全然違うのです。
隣に座っていた知らないお客さんが突然、昔からの友人のように親しげに会話に参加したり、「ピーナッツマン」と称する皮付きピーナッツの着ぐるみをつけた男性が街をウロウロしているなと思ったら、いきなり店に入ってきて、ギター片手に私の席の後ろで突然歌い出し、ミニコンサートがスタート。何これ?と呆然としながら周りを見渡すと、お客さんたちも席を立ってノリノリで声援しています。ホールで働いている女性は終始ニッコニコで、時々仕事を中断して常連のお客さんと話をしたりして楽しそう。いやー、もー、本当に不思議な世界で、シュールな映画のワンシーンの中にいるようでした。

前置きが長くなりましたが、このカフェで私がオーダーしたのが「豆腐スクランブル」。たまり醤油で味付けしたような味で、豆腐スクランブルというよりは豆腐の炒め物のようでしたが、とても美味しく、その場の空気と妙に合っていました。ピーナッツマンの演奏を聞きながら、いつか自分流の豆腐スクランブルを作りましょ、とウキウキしていたのを覚えています。

この豆腐スクランブルは「Old Town Cafe」のモノとは全く違う味です。でもやっぱり思い出すんですよね、あのカフェの豆腐スクランブル。
これはコロンビアスタイルのスクランブルエッグを豆腐でアレンジ。特徴はトマトと細ねぎが入っているところです。コロンビアの定番朝食メニューだそうですが、カレー風味です。簡単で美味しくて、思った以上に良い出来でした。今年、夏の料理教室で登場する予定です。お楽しみに〜。